2018年5月1日火曜日

初ロードバイク購入検討中のメモ

 どうも。今回は表題の通りロードバイクの話です。

 いつにもまして個人的なメモに近い内容になりますが、買う前に自分の考えを書き出して俯瞰で整理したいというのがまず第一。
 また、事前のイメージを書き残しておけば、購入後の体験と突き合わせて今後に役立つだろうとも考え、とりあえず今の時点での考えを書き残しておこうと思います。

 他の人の参考になるタイプの記事ではなさそうですが、折角だから公開しとこうかという感じ。気が向けばお付き合いください。

現状


格安クロスバイクの代名詞的な自転車、ESCAPE R3に3年ぐらい乗ってきて、合計の走行距離は1300kmぐらい。乗り方としては休日の昼過ぎに出かけて往復20~50kmぐらい走り、行き先で気が向けば軽く何かして帰る、というような乗り方がメインです。

 最初買った際には普段遣いにも利用したいと考えながらクロスにしたんですが、実際問題、クロスにカゴやキャリアをつけても大した積載量にはならないし、近所に出かけるぐらいなら自宅(実家)のママチャリ借りるので十分ということで、もっぱら週末の趣味限定の使いみちになっています。
 

 で、どうせ週末に趣味として乗るだけならクロスである必要もないし、社会人になってそれなりに金も貯まってきたので、せっかくなら良いロードバイクに乗ってQOLを上げたいなあ、ということで今回の検討が始まりました。

 あとまあついでに言い添えておくべきこととして、自分の趣味として海外の自転車ロードレース観戦というのがあり、ロードへの憧れとか選定基準というのにはそちらへの憧れが多分に含まれています。

 で、あの世界においてプロチームに機材供給してるのはチームとスポンサー契約を結んでいるメーカーであって、選手が自ら自転車やパーツを自由に選んでいるわけではない(一部の有力選手はスポンサー供給のパーツ類を使わず他社製製品のロゴを隠して使ったりしてはいるものの……)世界。
 ということで「プロが選択している/勝利している自転車だから良い製品である」というわけではないのは百も承知ではあるんですが、それでもやっぱりレースで勝ったバイクや好きなチーム好きな選手のバイクには憧れてしまうんだよなあというところはあり。

 もちろんプロが使っているものと全く同じものとなると100万コースなので到底手が出るものではありませんが、それでもせめて同じメーカーに……と思ってしまう。
 自転車業界の宣伝戦略に完璧に乗せられている感はありますが、まあ自分自身が満足できれば宣伝に乗せられていようが構わんかなと……自転車のエンジンは自分自身なので、自分が満足して乗れることが一番重要だろうと半分開き直りつつ思っています。

理想と現実


 色々なものを無視して純粋に外見と所有欲の満足だけで理想のバイクを言えば確実にDE ROSA SK Pininfarinaなんですが、色々な意味でハードルが高すぎるので不可。
 いやホントデザインは滅茶苦茶かっこいいんですけどね……「Pininfarina」も所有欲にグサグサ刺さる……そうは言ってもフレームセットで34万とかだし取扱店も近くにないし、海外からの輸入なら34万完成車とかあるらしいけど、初ロードでカーボンで海外輸入通販は流石にアホでしかない……

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 ホントかっこいいんですけどね……シートポストからシートステーとシートチューブに分岐するラインが美しすぎる……

 なにはともあれ、ここから逆算出来るのが、自分が今回バイクを選ぶにあたって折り合いをつけなければならないポイントとして「現実的な予算に収まる価格で完成車が買える」「自宅からアクセス可能な範囲に取扱店がある」という2点があること。

 予算は言わずもがなですが、取扱店の有無も重要なポイント。仮にカーボンバイクを買うとなればやはり整備は極力店舗スタッフの人にお願いしたいところですし、そうでなくとも、整備や相談にあたって毎度の如く距離の離れた店に出向くのは少々厳しいところがあります。

 で、アクセス可能な範囲の自転車店で扱っていて購入の候補に入りそうな自転車のメーカーをざっくりまとめると、

 というあたり。うち上3つは試乗済みなのでそのあたり中心に今の時点での考えを以下に書いていきます。



メーカーのイメージとか試乗インプレとか


GIANT


 世界最大の自転車メーカー。欧米の自転車メーカーのOEM業務から世界一までのし上がってきたものの、今もODM・OEM事業は続けていて、欧米の有名メーカーのバイクも安い価格帯のやつはだいたいGIANTとMERIDAとその関係会社が作ってんじゃないのという話。

 安めの価格帯のやつはどれ買ってもGIANTなんだと思えば、本体価格に下手なブランド代が乗っかってないGIANTのやつを買ったほうがコスパは良いんじゃねえの説はなくもなく。実際ロードレースの世界でも去年のジロ獲ったり世界選TT獲ったりとか実績は申し分ないんですよね。(デュムランが強いだけでは)(と思ったけどツールの山岳とポイントも獲ってたわ)(サンウェブが強いだけでは)

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 あと完成車のホイールとタイヤの組み合わせが全部チューブレスになってるらしいのもいいところ。チューブレスタイヤならパンク修復のシーラントを突っ込めるし、原理的にリム打ちパンクも起きないので、パンクのリスクはかなり少なく出来る。その上乗り味の面でもメリットが大きいという話。
 同じバイクをチューブレスとクリンチャーで乗り比べたわけではないので乗り味に関しては何ともですが、パンクリスクの低減というのはかなりのうまみがあります。

 欠点があるとすればパーツ・タイヤの選択がある程度絞られる可能性がある?まあ別にチューブレス対応のホイールはクリンチャーは使えませんみたいな話ではないはずなので、クリンチャーのタイヤとかホイールが使いたくなればチューブ突っ込んじゃえば済む話な気はしますが。

 今乗ってるのがGIANTで、そうでなくてもGIANTのバイクは街に溢れている、というのがなんとなく微妙な気分になるところはありますが、良いものだからそれだけよく売れている、という面はあるはずなので、マイナーメジャー拗らせみたいなところで判断鈍らせたくはないですね。

乗ったやつ


税抜16万! コンポ105 アルミ 完成車9.7kg


 初のロード試乗がこいつだったので今となっては印象が薄れつつあるんですが、今思うと信号停止からの漕ぎ出しや加速が他のバイクと比べてかなり重かった気がして、やはり9.7kgはちょっと……。という感じ。

 ただ、機械式→油圧変換とかいう謎システム搭載のディスクブレーキの効きはかなり良くて、ブレーキ性能の面ではこれまで乗った中で一番だったかも。
 しかしGIANT独自の変換システムが一般的なパーツの間に噛んでるのはリスクでもあるよなという気はします。特に組み込まれている部位がブレーキという命にかかわるパーツであるだけに。
 GIANT扱ってない店には交換パーツとか置いてないだろうし、旅先で万一壊れたら死ぬのでは……というのを思うと、重さ含めてちょっと選択肢には入らないかなあ。

税抜19.5万 コンポ105 カーボン! 完成車7.9kg!


 何故か試乗車サイズがXSしか無くて、サーカスの熊感ある微妙な乗り心地で走る羽目になりポジションがかなりキツかったものの、乗った感じはやはり軽くてキビキビ走り好印象。まあXSだからその分軽くてクイック、というだけの話だったんじゃないの感はありますが。ゆるい上りで軽いギアをクルクル回した時の推進力が印象的。

 また、このバイクは試乗したときに自転車用の装備(クッション入りグローブ・パンツ)で試乗したのでその分もあると思うんですが、路面の振動もかなり抑えられていて乗り味も上品。値段のリーズナブルさも合わせてかなりの有力候補になった感があります。
 上位機種のAdvanced1 KOMも24万とかでアルテグラになるので、そっちに手を出すのも全然アリかなと言う印象も。やはりGIANTは侮れないなあという一台でした。

コーダーブルーム

日本のホダカのスポーツブランドという事になってますが、実質的にはほぼGIANTのバイクだという噂。日本メーカーの強みを活かした日本人向きジオメトリとか日本設計とかを売りにしていますが、そうは言ってもレースで見てるバイクではないからなあ……というところはあり。これは多分に舶来品信仰っぽい感じはしますが……
 少なくとも自分のレースへの憧れみたいな成分については満足することができないメーカーであるというのは確かではあります。

乗ったやつ


税抜21万 コンポアルテグラ! アルミ 完成車7.4kg!!


 国内で売ってるアルミバイクで最軽量というのを謳っていて、それでアルテグラで税抜21万というのはマジかすげえな、と感動させられた。価格重量比(?)で見るなら滅茶苦茶お得なのは間違いない。
 実際乗ってみるとグイグイ加速するし確かに軽いんだなあとは思ったものの、重いギアで踏んだ時など、なんとなく落ち着かないというか姿勢がギクシャクするところがあり。
 多分自分のロードに対する不慣れさが原因で、バイク自体の軽さと反応性に対応しきれなかったところがあるのかなあと。また、軽さの最大のメリットであるところの登りについては、試乗時のコースに登りがなかったので体感できず。

 あとまあ他のメーカーはここまで軽いアルミバイク作ってないのに何でこれが成立したんだろう、しかもこの値段で、という疑念は正直なところある。一般に商品を作るにあたって、予算と性能と色々なもののせめぎあいの中で全部を同時に達成することは不可能なので、何かしらは犠牲になっているはず。
 他のメーカーのバイクだとそれが「ブレーキだけシマノ以外」とか「ホイールが鉄下駄」みたいな形で表に出ているのが見えるんですが、このバイクはその「何か」が見えないのが怖い。
 他のメーカーがブランド税とか代理店税で上乗せしてる部分を乗せてないんです、というのはまああるんだろう(試乗した時に店に居たホダカの人も粗利的にはかなりキツいらしいようなことを言っていた)し、そもそもGIANT製造でそんな危ないものが出てくるとも思えないので、問題はないんだと思うけど……

SPECIALIZED


 アメリカのメーカー。とにかく宣伝戦略が上手くて広報に金使ってんな感がある。実際作ったバイクがレースの世界で実績を残し続けているのは確かで、特に今年のQSTとサガンの活躍っぷりはスペシャに乗りたいと思わされるに足る強烈なものでした。SPECIALIZEDの広報担当者は笑いが止まらないはず。

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 本社にでっかい風洞があるらしく、ウチが出してるロードは風洞試験でエアロを磨いて出してるんだぜというのを事あるごとに押し出してくる。マーケティングでも何が前世代と比べてxx%向上とか何キロあたり何秒短縮とか(実際その数字自体がどこまで評価基準として正当なのか謎な部分はあるものの)数字で出してくるのはアメリカン物売りのスタイルだなーと思う。

 とは言え実際空気抵抗は少ないに越したことはなく(自転車の受ける抵抗の大半は空気抵抗)、そのあたりを風洞作ってまで本格的にやっているのは強みのはず。アメリカという土地柄からも、空力とか素材周りの人材は層が厚そうで期待できそう。これは同じアメリカのTREKも同様のイメージ。

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 しかし店員の人に話聞いた感じだと安いモデルには色々としわ寄せが……というところはあるらしく、安いTarmacとかは価格を下げるために元々のフレームの振動吸収のための構造がオミット気味になっていたり、安いRoubaixは機械式ディスクで恐ろしくブレーキの効きが悪かったりなど、ちょっと無理が出ているところがあるとのこと。
 買うならS-Works……とまでは言わないまでも、高めのグレードの物を買わないと……という傾向が強いメーカーなのかなという印象は持ちました。

 また、(どうせこんな記事大した人数は読まんとは言え)どこまで書いていい話なのか謎なんですが、19年モデルは18年とは色々変えてくるという話もあり、そのあたりも今買うには微妙な印象。ブランドイメージに感じる魅力は大きいんですが、それだけに中途半端に妥協したものを買いたくない、という状況ではありますね……。

乗ったやつ


Allez Elite

16万前後 コンポ105 アルミ 8.7kgぐらいらしい?


 何はともあれ目につくのは価格の安さ。実際に乗った感触としては、安めのアルミと言うので想像していたのとは違って、路面の衝撃をかなり上手く受け流してスルスル進む感があって驚かされた。スピードが出てる下りとかコーナーなんかでも車体は安定しているし、踏めば踏んだ分はグイグイ進むので、全体的な感触は良くて、全く安い印象はなかった。
 とは言えやっぱり上りは重さを感じてちょっと苦しかった印象はある。ホイールとタイヤを変えれば結構軽くなるらしいので差額分をそこに突っ込むというのはありなのかなあと思いつつ、それだったら最初っから高くても良いバイク買ったほうが良いのでは説はあるなとも。
 本体の予算としては20万~25万あたりを覚悟しているので、「16万」感、みたいな所がちょっと引っかかる感じを持ってしまうバイクではあったのかなと思います。

Roubaix Sport Disc

27万 コンポ105 カーボン 重量よくわからず


 フロントステムのところにサスペンションを搭載するなど悪路走破性を売りにしたシリーズ。「北の地獄」として有名な「パリ~ルーベ」を勝つために作られた、という触れ込みと、それを証明するだけの実績はレースファンにガンガン刺さってきます。
 実際の乗り味としても、アスファルトが割れてる所や橋の継ぎ目の段差などでの衝撃がかなり抑えられた感じになっていて、これなら確かに長距離走っても楽だろうという印象。それでいてフレーム自体はよく走るようになっていて、他の試乗車と比べても遜色ない加速感がありました。

 が、「Sport Disc」グレードに搭載されているのは機械式のディスクブレーキ。これが恐ろしいほどに止まらない。そこまでスピードを出していない場面であってさえ制動距離がかなり長くなってしまうので、この一点だけでもこのバイクは絶対に選ぶまいと思わされるほど。
 これもまた「安価グレードのしわ寄せ」の一つだろうと感じられ(実際Sport Discより上のグレードは油圧ディスク)、このメーカー買うなら30後半とか40万以降のグレードのバイクじゃないとダメなのかなーという印象を決定的なものとしてくれたバイクでありました。

Cannondale


アメリカのメーカー。アルミの扱いに自信がありますというのを度々言ってるのでたぶんそうなんだと思う。
 ロードレースに置いては残念ながらもう一歩目立ちきれないメーカーというイメージはあって、というかチームの経営状況がヤバくてクラウドファンディングで資金集めやるかも、とか言ってる状況で勝てる選手揃えるのはキツいだろうというところはあり。
 昔サガンはリクイガス・キャノンデールだったらしいけど、その時代のレースとかほぼ見たことないんだよな……今や彼は完全にSPECIALIZEDのイメージに塗り替えられているので、広報戦略の違い……というか企業体力の差を感じずにはいられない。

 このメーカー、買うとしたらCAAD12の105かなという感じ。
19万 コンポ105 アルミ 8kgぐらいらしい? 
 価格・装備面では他と劣らずいい具合なところで、評判は非常に高いバイクなのでかなりの有力候補なんですが、残念ながら試乗の機会に恵まれず。
 アルミとしては驚異的にいいバイクだ、というのはあちこちで書かれていて、Cannondale取り扱ってる店の店員の人にも「CAAD10は良いバイクでかなり乗り込んだけど、これから12買う人はもっと羨ましい」みたいな事を言われたので、相当良いんだろうとは思うものの、実際乗らない事には分からない。

 このモヤモヤした状態のまま他社のバイクを買うのも嫌なんですが、他のメーカーのバイクに色々乗った上での結論として、「試乗せずにCAAD12を買う」、というのを選ぶのはさすがにどうかと思う。
 しかし公式サイトの試乗店一覧見ると「東京」が枠すらないんですよね。そんな訳あるかと思うんですが、メーカーの方針で、試乗車を店にレンタルするとかはあまりやらないんだとか。やはり広報予算が……

PINARELLO

 イタリアのメーカー。ここ最近のツール・ド・フランスをほぼ獲り続け、ついでに(トラックだけど)リオ五輪で金獲ったりブエルタ獲ったりと、王者感溢れるメーカー。いやまあチームスカイの布陣とフルームが強すぎるだけの話な気はしますが……
独創性溢れるデザインとブランドイメージは申し分なしですが、価格設定も王者感溢れてるのが困りどころ。あとサイズ合わないとか別の色が欲しいとかで本社に注文すると日本に届くまで半年とか1年とかかかる事があるらしく、イタリア人……という感じになる。まあそれだけちゃんとイタリアでハンドメイド的に作ってるということの証左ではあるとは思うんですが。

 一応RAZHAに乗らせてもらった事はあるんですが、色々あって乗れたのは短い距離だけ。しかし振動吸収とか安定感は短い距離でも十分感じられた印象はあって、ざっくりした味付けのイメージは掴めた感。
 しかしラインナップ全体を見ると40万以下のバイクはまあ一応出してやったぜ感を感じないこともなく、せっかくだったら20万帯とかよりは高いバイクに手を出すときに選びたいメーカーなようなイメージはある(イメージでしかない)
 CAAD同様あまり試乗していない状態で買いたくはないし、Cannondale以上に試乗の機会がなさそうなメーカーなので、ひとまず今回のターゲットには入らないかなあ、と考えています。


結局どうする


 今回試乗した中では以下のような感じ。

GIANT TCRAdv2 > SPECIALIZED ALLEZ > コーダーブルーム FARNA SL

 Allezの価格と感触は魅力的ではあったんですが、TCRの乗り味がやはり値段以上の価値とカーボンの魅力というものを感じさせてくれたので……
 こうなると問題はCAAD12がどこに入ってくるかという所。どうにか試乗できる店を探して早いとこ乗って結論を出したいです。

 あとまあ自転車業界特有の謎のリリースサイクルの問題で、今月末から8月ぐらいにかけてが19年モデルの発表が始まるシーズンなので、そこの様子を見るというのも一つアリなのかなと思わされるところもあり。でも乗りたいのは今なんだよなあ……

 ともあれ、買ったらまた改めて記事を書くつもりです。よろしくおねがいします。