2017年6月12日月曜日

「魔法少女特殊戦あすか」1巻~4巻を読んだ

 先月は完全に労働によるストレスで死んでいたのでブログの更新にまで気力が向きませんでした。月一ペースは維持したかったんだけどなぁ……
 自分のブログの更新ができない間に友人のブログの宣伝ツイートが500RTとか伸びるという奇っ怪な現象が起きたりした5月を乗り越え、精神的には多少の余裕が出てきた感があります。
 余裕が出てきたとは言っても、仕事で減った気力をゲームとかアニメでどうにか元のレベルまで回復するのが精一杯(5月中は回復し切ることすらできなかった)で、アウトプットに向けるほどの余剰が残っていないというのがここ最近の精神状態なのですが、このまま行くと(また)ブログ放置が恒常化してしまいかねないので、リハビリ的に軽めの漫画感想記事といきたいと思います。


 で、今回読んだ漫画ですが、タイトルの通り「魔法少女特殊戦あすか」というタイトルの漫画。私は漫画雑誌とか全く読まないのでサッパリですが、ビッグガンガン連載のやつらしいですね。

 今回Kindleのスクエニ系コミック50%ポイントセールの対象になっていたので、折角興味を持ったタイミングだしと1巻を購入、なかなか悪くない空気を感じたのでそのまま4巻まで一気にまとめ買いで読了しました。感想について細かい所は後から書きますが、少なくとも5巻が中々楽しみに思える程度に面白かったのは間違いなく事実です。



 
 時にこの作品、自分のTwitter観測範囲だと話題になっているのを見たことがなく、私自身もつい最近「ゴブスレ」の新刊を買いに行った時にポスターか何かを見て「魔法少女+特殊戦というワードチョイス……魔法少女みと近代タクティコーの融合したビジュアル……ウーム完全に私の層に刺さるやつだ……」とインパクトを受けた時に初めて存在を認識したレベル。
 かなり人を選ぶ内容だというのは確かですが、それにしても割とこの手のネタが好きそう(偏見)な人を多くフォローしているはずの弊TLでもこの感じだと割と知名度低めの作品なのかしらと思わなくはなく。

 作品の内容としては、魔法異世界存在「地冥界」の地球に対する侵略活動によって人類が多大な損害を被る中、これに対する魔法勢力の協力を得て超常の力を得た魔法少女達が立ち向かい、人類も魔法少女自身も多大な犠牲を払いながらも撃退した……というのが本編スタートの3年前。

 敵の大ボスは倒したものの、それで世界が全く平和になるかと言えばそういうこともなく、世界にはテロに犯罪、内戦・紛争が蔓延しており、あろうことかそこに「地冥界」の残党やら工作員やらが介入して兵器を提供したり新兵をリクルートしてみたり、戦後に魔法使いになった連中がテロリストやら傭兵になって暴れてみたりとひたすらロクでも無い情勢。
 かつて世界中から集って共通の敵を倒すために奮闘したらしい魔法少女達も、現在は自国に帰ってSOCOM/JSOCのオペレータやらGRUスペツナズの所属として後ろ暗い仕事に関わる始末。世界のために振るわれた強力な魔法少女の力は今や国益のために用いられる物になってしまったという具合。


 そんな中、3年前の戦いの最終決戦を魔法少女たちのリーダーとして戦った主人公あすかは、両親を敵組織によってエキセントリックな手法で殺されたり(手口が本当にひどい)するなどした結果、戦いには勝利したもののPTSDめいた症状を発症しており、特戦群所属の義父や元同僚からの誘いを受けている状況でも頑なに魔法少女として戦うことを拒んでいます。
 しかし周囲の人間がテロに巻き込まれるなどする中で否応なしに戦いの中に戻ることになり、最終的にどうなるか……と言うような感じ。うーんこの濃厚な帰還兵モノアトモスフィア……


 とにかく作品全体にこれでもかというほどシリアス要素が……と言うより、ガンアクション系の映画っぽい要素がふんだんに注ぎ込まれており、それも気軽に見れるタイプではなく割とギットリとゴア描写をやるタイプのアクション映画のエッセンスが強め。
 敵も味方もやたら濃密に尋問するし、人体のパーツは軽率に吹っ飛ぶし、人の殺し方も的確にマジカルにイヤな感じの殺し方がちょくちょく出てきます。「地冥界」の敵キャラも皆ファンシーマスコット系のデザインで死ぬほどえげつない事をやってのけるので、典型的ながら効果的なギャップを生み出していて嫌悪感がすごい。

 特に1巻2巻あたりはこれらの要素がかなり頻繁に露骨な感じで出てくるため、露悪趣味っぽい色が強いところがあります。これは好みが分かれそうと言うか、こういう要素がイケる口でもちょっとクドくないかな……と感じてしまったポイント。
 絵の感じも一部男性キャラとかを中心に若干不安になる部分があったりして、所々結構気になります。あと新技とかガジェットとかが出てくる度に一々説明テキスト出て来るのダサいからやめてほしい……そういうの出た瞬間に説明する必要なくない……?ワードと絵と描写だけで良くない……?

 その他主人公や各キャラのキャラ性も割とフラつくタイミングもあり、おっ大丈夫か大丈夫か?と思いつつ読み進める感じにはなりましたが、3巻4巻と進むに連れて段々こなれてきてお話としてバランスが取れ、良い感じに面白くなってきています。

 3巻以降が面白くなってきた理由としては、単純にキャラが濃くてエネルギー量が多い人々(3年前の魔法少女達)の出番が増え、それが主人公の回りに集まってきた事で作品の推進力が高まってきたというのも面白くなってきたポイントですが、同時にお話の進行や要素のバランス的な部分も向上したように思います。
 程々に息抜きっぽいシーン(そして百合)の割合が増えるようになってきて程よく緊張を緩和しつつも、しかし各キャラのバックグラウンド描写はひたすらヘビー。戦闘シーンには程よく爽快感と勢いとゴアがあり、その中で各キャラのお互いに対する信頼や自信、プロフェッショナル意識や性格などがグッと前に出てくる感じになってきたので、全体的にメリハリが効いてきて面白くなってきたなという感じがあります。やはり緊張一辺倒より緩和が挟まることが大事なんやなって……


 また、敵キャラとして単純に動機とかバックグラウンドがよく分からない謎テロリストとか純粋モブ悪役みたいなのばかりでなく、陰鬱で同情できる背景持ちの敵キャラが出てきたのはすごく良い傾向だと思います。自分が単純にそういうタイプの悪役が好きだというのもありますが、この題材だったらそういうのが敵に回ってそういうのを相手に戦わなかったら嘘だよなぁという感じもあり。純粋に迷惑で背景も謎なテロリストを殺すには理由も思想も必要ないわけで。

 あと敵役で言えば3巻ラストの敵魔法少女ちゃんの扱いあまりにもひどすぎてめっちゃ可愛いですね。キャラデザ気合入った感じと言うか直球可愛い系な感じであの扱いだと、このためだけにこのデザインかよという感じがあって本当にひどい(褒め言葉)
 

 とりとめもなくなってきたのでこの辺りでまとめますが、
 現代ミリタリアクション映画のエッセンスを取り込んだ魔法少女モノ……魔法少女モノ?な作品。しかし言うほど銃とかミリタリ一辺倒という事もなく(主人公と相棒はメイン武器銃じゃないですし)、逆に魔法が強すぎるという風もそこまでない。

 魔法少女でシリアスというとどうしてもまどマギが出て来るところですが、アレが魔法少女になってからの絶望と希望を扱う話だったとすれば、こちらはその段階は既に乗り越えた上で更にしばらく経ってしまい、戦いの先に終わりも救済も無かったけど、それでも戦う、生きていく、というような話であると言えましょう。最終的には作中の騒動の黒幕に対する決着をつけて戦いを終わらせ、あすかの内心的な問題にも決着をつける、というような話になるんでしょうか。

 お話としては序盤割と不安定な部分も多いものの、3巻4巻は素直に面白くて良いバランスになったと感じる。逆に1巻2巻のテンションが最高!な人にとっては好ましからざるバランスになってきているという可能性もあるけど……
 
 ともあれ何度も書いてきたように人を選ぶ要素が多く、手放しに褒めて他人に推奨できるタイプの作品ではないとは思いますが、刺さる人種にはガッツリ刺さるであろうことも確か。試し読み分が結構長めなので、とりあえず読んでみて成程と思った人は読んでみると良いかもしれません。実際読んでみて多少引っかかっても3巻4巻まで行ってみると良いかもしれません、とも思います。15日までは50%還元ですし。


 とりあえず今回はこんな所で。ひっそりと5巻を楽しみに待ちたいと思います。