2017年10月22日日曜日

17年夏シーズンで見た映画とかアニメとか

 夏シーズンも終わってからもう半月以上経ってしまいましたが、ちょろちょろアニメとか映画とかを見たので、一応感想をまとめておこうと思いました。
 毎度のことながら、短めにまとめたいなと思いつつ書いてると勝手に時間が経ってダラダラと文章が伸びてしまう(その結果プリプリに至っては1記事分まで伸びた)ので、この習性はちょっとどうにかしたいところがあります。

お品書きとしては

  • ダンケルク
  • メイドインアビス
  • Re:CREATORS
  • 幼女戦記
の4本となっております。




ダンケルク




 正直なところ公開前/公開後しばらくは「ダンケルク撤退戦の連合国側の映画とか盛り上がりどころもないだろうし面白くなさそうだな……」と思っており、従って見る気は全く無かったのですが、TwitterのTL上での絶賛度合いの高さ(そして急激なスピットファイアブーム)を見ていて、どうも”何かがある”映画だぞと感じ、ちょうどタイミングよく友人からの誘いもあったため、新宿ピカデリーで鑑賞。

 結論から言えば滅茶苦茶強烈な映像体験に打ちのめされました。何か一つ強烈なシーンや台詞があったという訳でもなく、ひたすら淡々と積み重ねられていく描写と映像。
 とにかく圧倒的な映像のパワーによる臨場感と編集の巧みさにより、グングンとその場に引き込まれていく感覚がありました。

 しかし「戦争映画」かと言えば何ともよく分からないとしかいいようがないところがあり。陸の主役であるイギリス歩兵達は、主人公含めてほとんど一切戦闘らしい戦闘をすることはなく、海の主役は民間の観光船。
 最後に残る空の主役のスピットファイアは陸と海の不甲斐なさ(?)を挽回するかのように非常に印象的な活躍を見せてくれますが、つまるところ単純計算で映画の2/3は兵士たちがとにかく被弾しないことを祈ったり撤退の船を待ったり仲間内でギスギスしたり漂流したり溺死したりというのに費やされることになります。

 こう書くとやっぱり公開前の自分の判断は正しかったのでは……?という感じになりますが、実際見てみるとこの内容でとても面白いんだからどうしようもない。

 撤退戦という状況下に置かれた人々の中にも喜びがあり安堵があり恐怖があり、怒りがあり絶望があり歓喜があり、勇気や優しさを見せる人が居て、生き汚さを見せる人が居て、仲間意識を見せる人が居て、プライドを見せる人が居る。
 そういった戦場下における人々の複雑で多面性のある精神の動きや戦場の空気や緊張感、そして一種の高揚感に寄り添い、その場で一緒に体験しているような感覚になれる、ものすごく特殊な感覚を味わえる映画でありました。

 しかし何と言ってもラストあたりのスピットファイアは美しい。硫黄島で海兵隊の偉い人が「この旗があれば海兵隊は今後500年やっていける」というような事を言ったという話があったと思いますが、まさにこの映画はイギリス空軍にとって同種の聖遺物的なものになるんではないでしょうか(流石に言い過ぎ)


メイドインアビス



 以下TVアニメしかないです(あまり頻繁に映画見ないマン/特に実写は)

 原作漫画は未読、どんな話なのかすらも知りませんでしたが、1話の雰囲気と圧倒的なクオリティに惹かれて視聴継続。結果的には1シーズンどっぷりと浸らせて頂きました。

 ものすごいスローペースというか贅沢な尺の使い方で心配になるところがあり、実際1話~3話あたりの序盤はちょっと怠い印象も受けましたが、2層3層と深層に潜るごとに色濃くなってくる作品世界の深みと闇、無慈悲さと残酷さ。幾度となく紙一重で回避するも、チラチラと見え隠れする死の影。
 そしてそれらが一気に表に出る10話。
 この始まり方からここまでやるかよ!?と思わされましたが、1話~9話までの丁寧な積み重ねがあってこその10話の強烈さだったと思いますし、見ていて顔を覆いながら「序盤の明るくて賑やかな世界に戻して……」という気分になることしばし。結果的には現在の構成で大正解だったんではないでしょうか。

 とにかく「地下深くへと潜っていく話」であるというコンセプトと、「潜れば潜るほど上に戻ることが難しく(不可能に)」なるという作品上の設定、そして話が進むごとに薄暗くグロテスクになっていく演出や展開のシンクロが素晴らしい。
 どれほど恐ろしくても危険でも深みへと進むしかない主人公たちの境遇と動機、深みへ潜るごとに無慈悲かつ残酷になる主人公たちに対する仕打ち、そして求められる選択……作者の人は本当に良い趣味と構成力をしておられる……

 そういったストーリー面の良さはもちろんのこと、声優の演技に音響、音楽、美術面などアニメとしての総合的な質の高さも素晴らしく、1シーズンずっと安心して見られる出来であったと思います(ハードコア展開のストーリー自体は全く見ていて安心できなかったけど……)特に10話のアレは声優の人すげえなと……

 声優の良さにも繋がる話ですが、キャラも絶対数は少ないながら、それぞれしっかりした個性と深みと背景があり、深く愛せるタイプのキャラが揃っています。
 ナナチの良さは言わずもがなではありますが、オーゼンさんがすごく厄介かつめんどくさくて、そしてどうしようもなく良い人なところがにじみ出ていて特にお気に入り。

 その他、OP曲の歌詞がものすごく正面から作品の話をしているのが地味に好きなポイント。明るくてOP曲らしい良い感じの曲調だなーと思いつつ、話数を重ねたことで何度も聞いているうちに歌詞を理解する頃には作品のカラーも変化しており、あれこれものすごく悲壮かつ純粋な覚悟の歌なのでは……となってくる巧みな戦略。
 「それが呪いでも/鼓動は~」のあたりとかものすごく正面から作品を語っていて、作詞家の原作理解があるなぁと思いました。


Re:CREATORS

http://recreators.tv/



 賛否両論……どちらかと言うと否のほうが多いか、という感じの感想が周囲では多く、実際自分としても手放しでは褒められないかなーとか、ここがもっとこうだったら……とか、このあたりはちょっと足りてなかったんじゃないかなーとか勝手な評論家気取りの物事を考えてしまうようなところがある作品でした。

 良くも悪くもアルドノアの人たちの作品だなーという感じがあり、見ていて一番盛り上がったというか最大風速があったのはどうも序盤でまみかちゃんとセレジアが殴り合ってた頃だったのでは……という印象はあり。
 終盤になってキャラが増え、展開が盛り上がるごとにどうにも「コイツ原作ではどういう扱いで、ファンにはどう受け止められてるんだ……?」とか「この展開に作品世界の視聴者はついていけてるのか……?大炎上では……?」というようなあたりに対するお察し力(?)を要求されるようになっていった感があり。
 作品内イベントの展開の盛り上がりと比例する作中のクリエイター・視聴者のテンションの高まりに、その外から作品を見ている自分だけが置いて行かれていく感覚が(個人的には)ありました。

 とは言えお話としてはとにかく2クールまとめきったという印象があり、アルタイルとの最終決戦の決着は落とし所としても妥当というか、まぁその行為自体の是非はともかくとして確かに創作の中でしか叶わない夢であり禁じ手であり必殺技だわなという感じはあり。
 駿河さんとブリッツの限りなくドライな作者-被造物関係は非常に好みなものでしたし、後日談パートに関しても中々綺麗にまとまったなーという印象。他にも所々にきらめくシーンはあって、まあ色々と残念なとこはあったなーと思いつつ、トータルでの印象はそこまで悪くないです。

 アニメで動かすには複雑すぎるのでは……と思うようなキャラデザインをガッチリ動かし、演出する作画やエフェクト。音響面では100%澤野としか言いようがない澤野ミュージック、現代的でオシャレな全体のデザインスタイル。
 そういった作品全体の質的な部分については間違いなく超一級品で、後はもう本当に話のノリが合うかどうかだけの問題だなーという感じで、そしてそこが合わなければどれだけ周りの質が良くてもどうしようもないというのも確か。創作物は無情なり……


幼女戦記



 今期アニメじゃねえじゃねえか!と言われるとその通りなんですが、QAK(急にアマゾンプライムビデオ見放題に来たので)

 放送当時はあまり作品自体に興味がなかったのと画風が好みでなかったのと2話だか3話だかを見逃したので見る気がなくなり完全にスルーしていましたが、プライムで一気見してみたらこれがなかなか面白い。

 自分が(ヌルい)ミリオタだというおかげもあって、「作者と同じものを履修している感」がものすごく、ちょくちょく挟まってくるネタに笑わされます。特にパリ陥落のあたりのスンスンおじさんのアレっぽさは笑いなしには見れない。作者HoI2好きでしょというかそういう旨の話を思いっきり喋ってる記事ありましたね……

 しかしこれ話の筋としては控えめに言っても最強系というかものすごいキツみが強い話だと思うんですが、それでも割と見れてしまうのは何なんだろう……と考えてみるとやはりひとえに「主人公が幼女」の一点に尽きるところがありますね。
 むやみやたらな強さと優秀さ、達観したノリに冷徹さ、守旧的な上官との軋轢、そういった鼻につきそうな要素が幼女フィルターを通しているおかげで一定の毒抜きがなされているというか、一種のギャグ要素に変化するという悪魔的な構造。これ主人公が青年とか中年男性だったらキツすぎて見れたもんじゃなかっただろうなぁと……(いや中身は中年男性なんだけど)

 あとエフェクトとか音響とか凝っててめっちゃ良かったですね……と思ったらまた岩浪さん。この間記事に書いたプリンセス・プリンシパルも音響監督が岩浪さんなんですが、音響監督という(他と比べると相対的に)地味なポジションで確固たる地位を築いていると言うのはやはりそれだけの技量と実績があってのことなんだなぁと思います。
 実際TVアニメとか見ていてちょっと他では聞かないような変わった音や凝った音響を聞いて、まさかと思いつつスタッフを見ると音響監督にあの名前が……というパターンが最近割と多く、素人耳にもハッキリ感じ取れるほどの仕事をやれるあたりホントに別格の人なんだな……と思わされます。

 ともあれ、最終回の終わり方は二期やりそうな感じではありましたがどうなんですかね。原作ストックはあるようなので結構期待したいところ。西部戦線は終えたとは言え、WW2要素も入っている以上アフリカ軍団と東部戦線をやらずには終われんよなぁ?


その他メモ

 夏アニメは他にも「ナイツマ」とか「アポクリファ」とか見たい作品が色々あったんですが、配信サービスとかの折り合いで結局見れず。
 そもそも部屋にワンセグ環境しかなく録画環境もないということでまずテレビを見るハードルは高いんですが、そこに加えて人間としての雑さのあまり、「放送時間に見る」は放送時間とか忘れたりゲームやってて見逃したりするし、それどころか配信サービスの「1週間無料」とか「タイムシフト1週間」みたいなのもうっかりして1週間見ずに逃したりする質なので、Amazonプライムとかの「見たい時に(放送済みの話数なら)何話分でも見れる」みたいなサービスの対象映像作品以外はうっかり途中の話数を逃したりしがちで、見続けるモチベが保てないんですよね。

 最近は日付変わる頃には寝る生活習慣のため、金曜土曜以外はリアタイで深夜アニメを観ること自体不可能ということもあり、「そのシーズンのアニメを観る」という習慣自体が維持できなくなりつつあり。今季以降もAmazonプライムビデオでやってくれるアニメが増えてくれることを祈るのみです。