2021年12月4日土曜日

別府旅行に行った(21/12/03)

 今日あったこと

  • 相変わらず仕事の状況が悪いので、飯準備の手間回避とストレス発散のために宅配ピザなど取ってしまった。
  • そのまま浮かれ気分のまま過ごして酒なども入れた後、うかつにもアルコールが抜けきる前に風呂に入ってしまい、急速に貧血状態になって死にかけた。
  • 一人暮らしスタート以来、ありがたいことに誕生日などのタイミングで酒をもらうことが多くなった。おかげで飲酒頻度や回数が増え、最近はかなり酒に慣れてきたなという感触をもちはじめたところ。慣れたときが一番怖いというのは万事に共通する真理。マジで気をつけたい。

本文

 日記更新再開早々、日記でもなんでもない話になるけれど、先週旅行に行ったのでいくつか印象に残ったことを書き残しておこうと思った。プライバシー的なアレを考えてあまり細かい場所や行程までは書かないものの、中学校時代の友人数人と集まって1泊2日で別府のあたりの温泉旅館に泊まった次第。

 今回の旅行にあたってはコロナ禍で打撃を受けた観光関連業への支援という大義名分があり、とりわけ打撃の大きそうな航空便を往復で使って移動しましょうという話になっていた。
 自分はメカ趣味の一環として旅客機の機種などは多少分かる方だけど、実際に乗った経験は数えるほどしかなく、企業毎の性質やサービスなどはほとんど無知も同然。経験者のアドバイスを受けつつ便を選び予約して座席を選び、おっかなびっくり荷物検査を通り……という具合。それ自体がある種の非日常体験で面白かった。


 実際に乗ったのはスターフライヤーのA320とANAのB787-8。適当な時間・予算の便を選んだのが半分と、せっかく飛行機旅行を体験するならあえて往復で機材や会社を変えて違いを見てみたかった、が半分。
 とりわけ787は未だに自分の中で「新鋭機」としてのイメージが強い機体で、一度乗ってみたいな……と思っていたので、それ自体は嬉しい体験になった。

 しかし実際に乗ってみると体験の質が良かったのは間違いなくスターフライヤーのA320の方。シート周りの電源整備、座席の広さ、機内サービス等々嬉しい要素が多く、会社でここまで違うものかと驚いた。
 逆にANAの787は全体的に小綺麗になっていたものの、コンセントも個別モニタも無ければ前後も狭く、座席周りの設備は大昔に乗った747と大差ないのかも……という印象。機内便で短時間なのでさほど問題なかったのだけど、これが長距離だとちょっと蓄積する不快感はあったかもしれないなと思う。

 一応ANAのアドバンテージとしては機内Wi-fiの提供があったが、機上で乗客300人(実際には全員が使っていたということはないだろうけど)の通信を捌けるはずもないらしく、結局移動中はほとんど繋がらず。787の飛行を体験できて嬉しかった、エレクトロクロミックガラスの動作を実際に見られてよかった……という程度になるかも。
 このあたり、考えてみると新型機の性能的アドバンテージは基本的に航空会社にとってのメリット(信頼性や燃費などを含めたランニングコストなど……)であって、乗客に還元されるものではないのかも……という印象。ともあれ、今後また飛行機で国内旅行することがあればスターフライヤーは有力な候補になると思う。


 飛行機の話はこのあたりにして、旅行本体。全体として非常に楽しかったけど、その大半はプライベートでローカルな話題の打ち合いが大半を占めていたようなところがあり、あまり後から正確に回想できるものでも、またその必要があるものでもなかった感じがする。

 宿の食事はかなりの高クオリティだったけど、温泉旅館の定形通りというべきか凄まじい量で、後半は少し苦しみながら平らげる感じになってしまった。
 少量多品目を提供することが日本食における古典的な「ご馳走」であり、このとき客が料理を残すことはシステム上の前提である、というような話を昔ネットで読んだ気がする(ソースがはっきりしないので疑わしい)。

 仮にそういう発想で今もやっているんだとすれば、ちょっとご時世的に見直しても良いんじゃないかしらとも思ってしまう。それこそ量の分を質か価格に回してくれれば……と客目線で素人考えしてしまうけど、地のものをたくさん出すというのは地元の食品加工会社や農家やその他を巻き込んだ経済システムとの関係を薄く広く持っておく、みたいな意味合いもあったりするのかなあ。
 第一こういうところでコスト削減みたいな路線に持っていって良いことはないというのを我々はこの数十年で学んできたのではなかったかとも思うので、まあ今後も旅館に泊まるときにはしっかり覚悟とコンディションを整えて飯に臨もうと思った次第。



 観光地。そこそこ名前の通った温泉保養地みたいな土地にはいくつか訪れたことがあるけど、おそらく全国的に経済がイケイケだった時代に社員旅行とかでドカドカ人が来てガンガン開発が進んだ時代があって、今はそのボーナス期の遺産を適切に活用して撤退戦を行いつつ、好機を見極めて反撃を行えるか……みたいな立ち回りをしているように感じる。


 その意味では別府近辺のこういう節操なさというか貪欲さは一周して気持ちよささえ漂っていて、すごくいい味が出ていた。
 各所で重要な観光スポットへの経路が必ず土産店になっていたりなど、観光の目的となる自然現象そのものの凄さや面白さももちろん魅力的ながら、それをどう商売につながるよう活用するか……というプロセスやアイデアの方により面白みが出ている土地だったように思う。
 地獄めぐりの「地獄」というのも、もともとは熱水が吹き出たりして農業などにロクに利用できない土地がそういう呼ばれ方をされていたらしい。それを観光地に作り変えているわけだから、土地と人々のアイデンティティとしてこういう面の強かさが存在するのだろうなと思う。


 その他、土産物店でなにやら「お湯をかけるとイラストが裸になるタオル」みたいなものを発見するなどした。
 画風の古さも相まって倫理観がユルかった時代の残滓か……とも思ったけど、良くも悪くも世の中全体の倫理観がそこまで”アップデート”されてるわけでもなし、こういう感覚は別に全然現役でありうるんだよなとも思う。昔沖縄旅行に行った時に見かけた直球下品な名前のお菓子なども思い出す。
 温泉という土地柄的にも直近話題になった件を想起させられるものがあり、こういうおおらかさというか泥臭さみたいなものも(自分で積極的に乗っかろうとは思わないけど)どこかで残っていって欲しいカルチャーではあるなあと思う。


 なにはともあれ、概して楽しい旅行だった。今回の旅行が成立したのは大前提としてひとまずコロナの流行が小康状態と言える状況にまで持ち込んだ政府や医療、物流等々関係各所のの人々の尽力あってのことで、諸々ひっくるめてとにかく開催できた事自体に感謝というところ。
 とはいえコロナ自体は全くもって現在進行系の問題であって、引き続き警戒が必要な事に変わりはない。その上で、自分の中での一つの区切りというか、ある種のフェーズの切り替わりとして象徴的なイベントになったように思う。このまま無事に小康状態のまま推移して、また別の場所に旅行しようという日が来るといいな……と思えた2日間だった。